キリギリスの雑記帳
キリギリスの雑記帳

-- 懐かしい釜石の方言集 --

最近は、ここ岩手県でも外で遊ぶ子供達の言葉はほぼ標準語になっていますが、自分の少年時代である半世紀以上前(!)の岩手県釜石市では、大人も子供も方言まる出しでした。

自分が釜石で過ごしたのは高校を終わるまでの17年間だけですが、生きているうちに記憶に残る釜石の懐かしい方言を何かに書き残しておきたいと考え、このページを作りました。

とはいっても、ここに記載したのは釜石独特のものというより、岩手県全域、あるいは東北全域で使われているのも多く含まれます。 自分自身も転勤で岩手県内各地に住んでいたので、釜石弁だと勘違いしていることもあるかもしれません。 あくまで個人の記憶によるものです。

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   あ行

あべ

意味 : 来い。 一緒に行こう。
用法 : はやぐあべ。(=早く来い。) 
備考 : 目下の人や同級生に使われることがほとんどで、目上の人には使わない。 釜石の場合、「」にアクセントがある。

あめる

意味 : 腐る (特に食品が糸を引くような、酸っぱくなるような腐り方)
用法 : じゃじゃじゃ、ご飯あめでしまったじゃ。(=ご飯が腐ってしまった。)
備考 : 本来の「食品が腐る」という意味の他に、物や人が全然ダメだとけなす場合にも使われる。 例えば「何!この掃除機、あめでったら!」、とか「あそごの店員あめでっけ」など。

あるぐ

意味 : 本来の歩行するという意味の他に、乗り物を利用してあちこち出歩く(旅行する)こともあるぐという。
用法 : あそごのうぢのすだずはしょっちゅうあるいでばりいっけ。(=あそこの家族は頻繁に旅行している。)

あんべ

意味 : 具合
用法 : あんべわる。(=具合が悪い)
備考 : 物を食べたとき後味が悪いときは、くずあんべわる。 腹の具合が悪いときは、はらあんべわる。・・となる。

いっそ

意味 : 始終  いつも
用法 : あの人はいっそあんなごどばりやってんだ。(=あの人はいつもあんな事ばかりやっているんだ。)

いってで

意味 : いったい
用法 : いってで何なんだ!(=いったい全体どうなってるんだ!)
備考 : 主に憤慨したときなどに使われることが多い。

いっぺ

意味 : たくさん
用法 : いいよ、大根だばうぢさいっぺあっから。(=いいよ、大根なら家にたくさんあるから。)
備考 : 「いっぱい」が省略されて「いっぺ」になっただけ

いんずい

意味 : 微妙に(物理的に)違和感・不快感がある。主に直接体に触れるものに原因がある場合。
用法 : このズボン、歩くと膝のあだりがいんずい
備考 : 人によっては「えんずい」と聞こえることもある。 または「いんずくらす」という場合もある。

うるがす

意味 : 水に漬けておくこと。 またはふやかすこと。
用法 : 食べだら、茶碗うるがしておげ!
備考 : 風呂に長く浸かりすぎて指先がうるげだ・・・という使い方も有り。

おだず

意味 : 調子に乗って必要以上にふざけること。
用法 : こりゃ、あんまりおだずな!。  おめはおだずっこだもな。(=お前はお調子物だものな。)
備考 : おだず状態を「おだってる」という。

おがる

意味 : 大きくなる。 成長する。(人でも動植物にでも何でも適用される)
用法 : あら~○○ちゃん、随分おがったね~。  こないだ植えだ苗、もうあんなにおがったじゃ。

おごご

おごご
意味 : 漬物 ( 標準語の「おしんこ」に相当?)
用法 : (省略)
備考 : ご飯を食べ終わると、茶碗に白湯を入れて「おごご」を食べながら飲んでいました。ちなみにご飯の後にはお茶を飲むのが一般的でしょうが、岩手県沿岸では白湯が普通だったようですね。

おぢる

意味 : 「降りる」こと
用法 : (バス停に着いたときなどに) おめがら先におぢろ。(=お前から先に(バスを)降りろ。)
備考 : 標準語で「降りる」と言うところを「落ちる」といい、さらに訛って発音していた。

おもげる

意味 : 水分を吸ってふやける。
用法 : 早ぐラーメン食べろ! おもげてしまうべじゃ。(=早く食べなさい。ふやけてしまうよ。)
備考 : 主に食品に対して使う。

   か行

がおる

意味 : バテる。  具合が悪くなる。 疲れ果てる。
用法 : 昨日の五葉山の登りで、がおったじゃー。  大丈夫が? がおってんじゃねえが?

かぜ

意味 : ウニ
用法 : 省略
備考 : 「か」 にアクセントがある。 焼いたウニを「焼きかぜ」と言い、味噌と混ぜた「かぜ味噌」を、ご飯にかけて食べると美味かった!

かっちゃぐ

かっちゃぐ
意味 : 爪で引っ掻くこと
用法 : わーん、猫にかっちゃがれだーー

がっさい

意味 : ダサい。 カッコ悪い。
用法 : なにそんながっさい服着て。

がふがふ

意味 : 大きすぎてサイズが合わない様。
用法 : 長靴借りできたげど、がふがふだった。

かさかぶる

意味 : 傘をさす。
用法 : 雨降ってきたがら、この傘かぶって行げ。
備考 : 標準語の「さす」が「かぶる」になっただけ。 自分はかなりの年齢になるまで「かぶる」は標準語だと思っていました。(^_^;

かざる  かだる

意味 : 参加する。 (遊びのメンバーなどの)仲間に入る。
用法 : (草野球をしている子供たちに、後からやってきた子供が、)俺もかぜろ~!  釣りっこさ行ぐべし、おめもかざれ
備考 : 参加することが「かざる」で、参加させることが「かぜる」  岩手県の他の地域では「かだる」と発音することが多いようですが、釜石では「かざる」と発音する人が多かった。

かまがす  かます

意味 : かき混ぜる。
用法 : 風呂沸いだけど、上の方あっつがら、ちゃんとかまがしてがら入れよ。(=お風呂が沸いたけど、上の方が熱いので、ちゃんとかきまぜてから入れよ。)

(髪)けずる

意味 : (髪を)とかす
用法 : 朝起きたら、ちゃんと髪けずってがら行けよ。
備考 : 「けずる」が標準語だと思い、高卒後に上京してこれを話したら同級生に不思議がられた人もいます。

きみ

意味 : トウモロコシ
用法 : (省略)
備考 : 「とうきみ」とか「きみ」と呼びましたが、明治生まれのじいちゃんは専ら「きみ」でした。 じいちゃんが作る「きみ」は黄色だけでなく黒い粒が混じる物が多くて、個人的にはそっちが好きでした。原種に近かったのでしょうね。

きりごみ

意味 : イカの塩辛
用法 : (省略)
備考 : おそらくイカを細かく「切り込む」から「きりこみ」で、これが訛って「きりごみ」になったのだろうと推測。

けっつ

意味 : お尻
用法 : (省略)
備考 : 「けつ」が訛って「けっつ」になっただけ。 しかし釜石育ちの自分としてはやはり、「けつ」より「けっつ」の方がしっくりくる。(笑)

○○っけば

意味 : ○○したらば。 ○○ならば・・・くらいの意味
用法 : コレどコレ混ぜだっけば、こうなった。  言われだとおりにやったっけば失敗した。

ける  けでやる

意味 : あげる (譲渡する)
用法 : これ、もう要らねぐなったがら、おめさけでやる。(=これ、もう要らなくなったからお前にくれてやる。)
備考 : 「けでやる」は、目上の人には使わない。

けろ  けで

意味 : ○○して下さい。 または物を譲渡して下さい。
用法 : ちょっと醤油取ってけろ(or けで)。  これ、俺さけねが?(=これを俺にくれないか?)
備考 : 「けろ」は目下の者や同級生に対して使い、「けで」は目上の者に対してや、こちらが下手に出なければならない場合に用いる丁寧形。

げろっぺ

意味 : 最下位。 一番ビリのこと。
用法 : こないだの運動会で、おらほのわらすはげろっぺだった。(=この間の運動会で、うちの子供は最下位だった。)

こえ

こえ
意味 : 疲れる。 疲れた。 しんどい。
用法 : あそごまで登んのはこえがらやんた。(=あそこまで登るのは疲れるから嫌だ。)
備考 : 「こえ~」と伸ばすことも多い。

こきたね

意味 : 汚い
用法 : こきたねわらすだな、さっさど顔洗ってこ。(=汚い子供だな、早く顔を洗って来なさい。)
備考 : 「きたない」より「こきたね」の方が汚い雰囲気が出ている・・・と感じるのは私だけでしょうか(笑)

ごせやげる

意味 : 腹が立つ。 むかつく。
用法 : 毎日あのニュース聞いでっとほんとにごせやげるじゃ。(=毎日あのニュースを聞いていると本当に腹がたつ。)
備考 : 腹を立てている相手に対して、「そう ごしゃぐな。」という場合も有り。

こちょがす

意味 : くすぐったい  くすぐる
用法 : こちょがすがら止めろ!(=くすぐったいから止めろ!)  こちょがしてけっか?(=くすぐってあげようか?)

ごった

意味 : ○○だと思う。(予想する)
用法 : んだごった。(=そうだと思う。)  あっちは多分寒いごった。(=あちらは多分寒いと思う。)

こっちゃこ

意味 : こっちに来い。
用法 : (省略)
備考 : 主に子供や目下の者に対して使う。

ごっぱり  がっぱり

意味 : どっさり。 たくさん。
用法 : 今日の料理は唐辛子ごっぱり使ったがら辛いごった。(=今日の料理は唐辛子をどっさり使ったので辛いと思う。)
備考 : 反対語は「ぺっこ」 = 少し

○○ごど

意味 : ○○だねぇ~ ・・・くらいの意味。
用法 : あら~、やんたごど。(=あら、嫌だねぇ~。)  立派だごど。(=立派だねぇ~。)
備考 : ちなみに久慈地方では、「○○したっけごど」は、「○○したじゃないか」の意味になるようだ。

このげ

意味 : 眉毛
用法 : (省略)

こまぐする

意味 : (お金を)小さな硬貨に両替する。
用法 : 千円札こまぐなんね?(=千円札を両替出来ない?)

ごんぼほる

意味 : 駄々をこねる。 文句を言う。 聞き分けのないことを言う。
用法 : あいづは何がっていうどごんぼほってばりで、聞きたくねえじゃ。(=あいつは何かというと文句ばかり言うので、聞きたくないよ。)
備考 : 「ごんぼほる」人のことを、「ごんぼほり」ともいう。

○○っこ

意味 : (意味は特になく、親しみを込めて、いろいろな名詞の語尾に付ける。)
用法 : お茶っこ。 わらすっこ(=子供)。 髭っこ。 釣りっこ。 膝っこ

   さ行

ささる  さる

意味 : ( なってしまうこと。)
用法 : 思い出すど笑わさる。(=思い出すと、(自然に)笑ってしまう。)  おめの筆箱、机の上さおがさったままだっけぞ。(=お前の筆箱が机の上に置いたままになっていたぞ。)  おもせくて、いづまででも見ささる。(=面白くて、いつまでも見てしまう。)

さっさど

意味 : 早く
用法 : ぼやぼやってねで、さっさどかだづげろ! (=ぼやぼやしてないで、早く片付けろ!)

されかまねでおげ

意味 : 放っておけ
用法 : あったなやづに何言われだっていいが。されかまねでおげ!(=あんなやつに何を言われたっていい。放っておけ!)

したっけ  したっけば

意味 : そうしたら  そうしたらば
用法 : 行ってみだのよ。したっけ言われだのど全然違うっけじゃ。(=行ってみたよ。そうしたら言われたことと全然違っていたよ。)

しゃっこい  しゃっけ

意味 : 冷たい
用法 : (かき氷を口に入れた瞬間) しゃっけー!
備考 : 性格が冷たいのではなく、純粋に物理的に冷たい様子をさす。

しょす  おしょす

意味 : 恥ずかしい
用法 : おらそんなごど、しょすくてやんた。(=俺はそんなこと、恥ずかしくて嫌だ。)
備考 : 「しょす」の丁寧形(?)が「おしょす」

すたず

意味 : 人たち
用法 : 甲子のすだずど浜のすたずどは、ちょっと方言違うもな。(=甲子(かっし)の人たちと浜の人たちとは少し方言が違うものな)
備考 : 「若者たち」は「わげすたず」と呼ばれた。

ずったり

意味 : ずーっと  いつまでも
用法 : 今日は朝からずったりこればりやってら。(=今日は朝からずーっと、こればかりやっている。)
備考 : 同様の意味で「むったり」ということもある。

○○っから

意味 : ○○するから・・・の「る」が「っ」に変わる訛り
用法 : こうすっから。(=こうするから。)  後でやっから。(=後でやるから。)  今度はいい点とっから。(=今度はいい点を取るから。)
備考 : 語尾に「から」が付く動詞の場合、大半はこのような言い方になる。

すみる

意味 : 凍る
用法 : すみどうふ。(=凍み豆腐 )   だんだんすみでくっから。(=だんだん凍ってくるから。)
備考 : 標準語の凍みる(しみる)が鈍って、「すみる」になったもの。 この言葉に限らず「」を「」と発音することがよくあった。例えば鮭の卵の塩漬けある「筋子」は「すずご」と発音した。

ぜいご

意味 : 田舎
用法 : (省略)
備考 : 田舎者(特に地理的な意味では無く文化的な意味で) のことを「ぜいごったれ」と呼んだりもした。

せっこぎ

意味 : 面倒くさがり。 ものぐさ。 手間を惜しむこと。
用法 : あの人はせっこぎだがら、あでにしねほい。(=あの人はものぐさだから、あてにしない方が良い。)

せずね

意味 : うるさい。 忙しいとか騒がしい様子。
用法 : せずね! ← ドタバタ騒いでいて大人に怒られる。
備考 : 標準語の「切ない」とは別の意味である。

そったな

意味 : そんな  そのような
用法 : そったなごど、言うもんでね!(=そんな事、言うもんじゃない!)

   た行

だがら・・・  んだがら・・・

意味 : そうだよね (同意・同感の意味)
用法 : 「あの先生、最近いぎなり怒るようになったよね。」「だがら・・
備考 : 同意しているだけなので、標準語の「だから」のように次に続く言葉があるわけではない。 上京後にこの言葉を何気なく使っていたら、「だから何?」とネガティブに反応していると誤解され、関係が微妙になったという話を耳にしたことがある。

たごつった

意味 : 泥濘などに足を突っ込んでしまうこと
用法 : ありゃー、たごつった
備考 : 蛸が釣れると、グニョーッ!という鈍い感触の引きがあるため、その辺の感覚的なところから来ているのかな?・・と個人的に思う。

たごまる

意味 : (布状のもの、糸状のもの、毛布などが) 丸まってしまう、クシャクシャになってしまうこと。 真っ直ぐであるべきものがシワクチャになること。
用法 : そうやって引きずっと、たごまってしまうべじゃ。(=そうやって引きずると、丸まってしまうだろが。)

たなぐ  たんなぐ  たがぐ

たなぐ
意味 : 持つ  持ち上げる
用法 : おめ、そっちの端ばたなげ。運ぶがら。(=お前はそっちの端を持て。運ぶから。)
備考 : 「たなぐ」と発音する人と「たがぐ」と発音する人がいるが、どちらも意味が同じ。

だら

意味 : 肥溜め
用法 : 野球やってらっけ、ボールがだらさおじだ!(=野球をしてたら、ボールが肥溜めに落ちた!)
備考 : 子供の頃、通学路の途中に何カ所か「だら」があり、そこに石を投げて「ドッボーン!」とさせ、近くを通る友達にだらの飛沫をかけるイタズラをよくしていました。(^^ゞ

だべ  だべや  だら  だらや

意味 : そうだろう  そうだろうが  ○○じゃないか
用法 : んだべ。(=そうだろう。)  さっきやったべだら。(=さっきやっただろうが。)  こっちの方が早えっけだら。(=こっちの方が早いじゃないか。)
備考 : 釜石では、特に女性が使う場合は「んだべ」は「んだべんたら」、「やっただら」は「やったべんたら」というふうに、語尾に「んたら」が付くことが多い。

だらめがす

意味 : (主に液体状のものを)だらだらとこぼすこと。床などを汚すこと。
用法 : (省略)

たんぱらおごす

意味 : 短気を起こして怒る。 (今で言うところの)キレる。
用法 : あの野郎、たんぱらおごしてどごだり壊して歩った。(=あの野郎は短気を起こして、あちこち壊してまわった。)
備考 : あそらくだが、語源は「短腹起こす」かな?と思う。

たんぺ

意味 : 唾
用法 : どごだりさたんぺ吐くな!(=ところ構わず唾を吐くな!)
備考 : 少年たちがタバコのことを隠語で「たんぺ」と呼ぶこともあった。

○○だっつ

意味 : ○○だそうだ。
用法 : んだっつ。(=そうなそうだ。)  わがんねんだっつ。(=分からないそうだ。)  これ、貰ったんだっつ。(=これは貰った物なそうだ。)
備考 : 結構頻繁に使われた方言なんだっつ

ちゃっこい

意味 : 小さい
用法 : (省略)

ちょす

意味 : 触る
用法 : 買ってきたばりだがらちょすなよ。(=買ってきたばかりだから触るなよ。)  猫、寝でっからちょすな。(=猫が寝ているからちょっかいだすな。)

○○っつぐなる

意味 : ○○な状態になる。
用法 : 油まげだら、ベダベダっつぐなった。(=油をこぼしたら、ベタベタした状態になった。)

つっぱね

意味 : 泥水などが跳ね上がったもの
用法 : 道路脇を歩いでらっけ、ダンプにつっぱね掛げられだ。(=道路脇を歩いていたら、ダンプに泥水を跳ね散らかされた。)

ではる

意味 : 出る
用法 : 花火見えっから、おもでさではってみろ。(=花火が見えるから、外に出てみろ。)

てっつぎ

意味 : 手つき (器用さ)
用法 : やっぱ職人はてっつぎいいもんだ。(=やはり職人は手つきが良いものだ。)  おめはほんとにてっつぎ悪な。(=お前は本当に不器用だな。)
備考 : パッタン(=東京では「メンコ」というらしい)という、絵柄がプリントされた丸い厚紙を地面に叩き付けて相手の厚紙を弾き飛ばす遊び)をする際、正確に当てるために地面ギリギリまで手を伸ばし、勢い余って地面に指を強くぶつけてしまうことがよくありました。 このことも「てっつぎ」と呼ばれていたけれど、「お手つき」という意味なので別もの。

でんび

意味 : 額(ひたい)
用法 : あの先生、でんび広いよな。(=あの先生は額が広いな。)

どごだり

意味 : あちこち  ところ構わず
用法 : どごだりさゴミ投げんな!(=あちこちにゴミを捨てるな!)  あの人は酔っ払えばどごだりさ寝でしまうっけ。(=あの人は酔っ払うと、ところ構わず寝てしまう。)
備考 : 似たような言葉で そっつこっつ がある。 「そっち、こっち」が単に訛っただけ。  そっつこっつさホラ吹いで歩いでる。(=あちこちに、ホラを吹いて回っている。) などと使う。

   な行

なげる

意味 : 捨てる
用法 : あそごのゴミ捨て場さ、投げできてけろ。(=あそこのゴミ捨て場に捨ててきてくれ。)  まだ投げんのは勿体ねーべじゃ。(=まだ捨てるには勿体無いじゃないか。)

なして

意味 : なぜ  どうして
用法 : なしてホントのごどゆわねがった!(=なぜ本当の事を言わなかった!)

なんじょ

意味 : どう
用法 : なんじょする?(=どうする?)  なんじょしても出来ねーがや。(=どうしても出来ないや。)

なんじょったり

意味 : どうにでも  お好きなように
用法 : 「コレどコレ、どっち買ったらいいど思う?」「なんじょったり。」(=お好きなように。)

なんだりかんだり

意味 : 何にでも  (思慮無く)いろいろと
用法 : なんだりかんだり手ぇ出してみだげど、全部うまぐいがねがった。(=いろいろと手を出してみたが、全部うまくいかなかった。)

なんぼしたって

意味 : いくらなんでも  流石にそれは・・・くらいの意味
用法 : なんぼしたってそれはねえんじゃねえが。(=流石にそれは無いんじゃないか。)  なんぼしたって○○高校ぐらいは、はいれっぺだら。(=流石に○○高校くらいには、入学できるだろうよ。)

ねふかげ

ねふかげ
意味 : 居眠り  うたた寝
用法 : ねふかげすっと風邪引ぐがら、早ぐ布団さ行げ。(=うたた寝すると風邪引くから早く布団に入れ。)

のっこり

意味 : どっさり  山盛りに
用法 : あ~、スッキリした。 のっこり出だ (^_^;

   は行

意味 : もう  既に
用法 : 決めだじゃ。(=既に決めたよ。)  あどまがせればいんだ。(=もう後のことは任せればいいんだ。)
備考 : 発音は「wa」ではなく、あくまでも「ha」である。

意味 : (標準語の「を」に該当)
用法 : あそっから角材ど鋸持ってこ。(=あそこから角材と鋸を持って来い。)

ほいど

意味 : 乞食
用法 : (省略)

ほでなす

意味 : 馬鹿  アホ  愚か者 
用法 : (省略)

ほでね

意味 : 訳がわからない。 全然わからない。 混乱している。
用法 : どごさ行ったんだが、ほでねぐなった。(=どこに行ったかさっぱり分からなくなった。)
備考 : 「ほでなす」の状態のなること = ほでねぐなる。・・・と解釈できるかも。

はだぐ

意味 : 叩く
用法 : はだぐな! いでべじゃ!(=叩くな! 痛いだろうが!)

はっぱど

意味 : さっぱり
用法 : あそごの工事、はっぱど進まねな。(=あそこの工事、さっぱり進まないな。)

ぱっぱど

意味 : 早く
用法 : も少しぱっぱどやれねーもんだがや。(=もう少し手際よくやれないものかね。)
備考 : 「さっさど」と同じ意味だが、「さっさど」は単に時間的なことだけを言っているのに対し、「ぱっぱど」は「手際よく」とか「効率良く」という質的な意味も含む。

はなしかだり

意味 : 会話  雑談  おしゃべり
用法 : おめのかあちゃんは、おもでで○○さんどはなしかだりしてらっけぞ。(=お前の母ちゃんは、庭先で○○さんと雑談していたぞ。)
備考 : 「話」と「語り」が重複して「話語り」となり、それが訛ったもの。

ばふっと

意味 : 大雑把に  まるっと  大体のところ
用法 : ばふっと言えばこういうごどよ。(=大雑把に言えばこういうことさ。)  まずはばふっと予算決めで、その後でゆっくり考えんのよ。(=まずは大づかみで予算を決めて、その後にゆっくり考えるのよ。)
備考 : とても便利な表現なので、個人的にはよく使う。(^^ゞ

ばり

意味 : それだけ  そればかり
用法 : 飯ばり食ってねで、おがずも食え。(=ご飯だけ食べてないで、おかずも食べろ。)  そんなごどばりやってっと頭悪くなっつぉ。(=そんなことばかりやっていると頭が悪くなるぞ。)

ばんかだ

意味 : 夕方
用法 : ばんかだなれば涼しくなっぺ。(=夕方になれば涼しくなるだろう。)

ばんがり

意味 : 思いっ切り
用法 : ばんがりはだがれでしまった!(=思いっ切り叩かれてしまった!)
備考 : 遠野市に「ばんがり」という蕎麦屋(兼ラーメン屋)があるが、以前は釜石にあって遠野に移転したもの。

ふたつける

意味 : ぶん殴る  叩きのめす
用法 : あんまり変なごと言ってっと、あの親爺にふたつけられっつぉ。(=あまり変なこと言ってると、あの親爺にぶん殴られるぞ。)

ふっちらがす

意味 : 散らかす
用法 : なんだこんなにふっ散らがして。 片付けろ!
備考 : 「散らかす」の先に「ふっ」が付いただけ。

べし  ぺし

意味 : ○○しよう。
用法 : やっぺし。(=やろう。)  皆で頑張っぺし。(=皆で頑張ろう。)  さあ、いぐべし。(=さあ、行こう。)

ぺっこ

意味 : 少し
用法 : ぺっこでいいがらわげでけろ。(=少しでいいからわけてください。)

ぺっこばり

意味 : 少しだけ
用法 : ぺっこばり貰ったって何も変わんねが。(=少しばかり貰ったって何も変わらないよ。)

ぺったらこい

意味 : 平たい  凹凸が少ない
用法 : 五葉山の頂上のあだりはぺったらこぐなってんだ。(=五葉山の頂上一帯は平らになっているんだ。)

・・ぺど  ・・べど

意味 : ○○しようと
用法 : やっぺど思ったっけ雨降ってきたがらやめだ。(=やろうとしたが雨が降ってきたので止めた。)

べや  べだら  ぺだら

意味 : ○○だろう (相手に同意を促すような、そうに決まってるだろう・・・みたいな使い方)
用法 : んだべや。(=そうだろう。)  さっきゆったべだら。(=さっき言ったじゃないか。)  釜石ラーメンだも、美味いに決まってっぺだら。(=釜石ラーメンだもの。美味いに決まってるだろう。)

べんたら  ぺんたら

意味 : 前項の「べや、べだら、ぺだら」の変形で、女性が使う。
用法 : んだべんたら。  さっきゆったべんたら。  美味いに決まってっぺんたら
備考 : 自分の経験では、この表現は男は使わず、女性限定であると記憶している。

○○っぺ

意味 : ① どうしよう?・・・くらいの意味  ② ○○しよう・・・くらいの意味(「べし」に近い)
用法 : ① どうすっぺ。(=どうしよう。)  どうやっぺ。(=どのようにやろう。)  ② 早ぐやっぺ。(=早くやろう。)

ほにほに

意味 : 本当になぁ~ (・・・と共感するイメージの感嘆詞。相づち。)
用法 : 「○○さんちの猫、可愛くてずっと見でで、遅ぐなってしまったじゃ。」「ほにほに。」
備考 : 微笑ましい事に同意したり、大変だった苦労話に共感したりするときによく使う相づち。

ぼんぼつっこ

意味 : 結び目や、あまり大きくない玉状のもの。 尖っているべきものが丸まってしまった状態。
用法 : 電気(照明)のスイッチ入れっとぎは、このぼんぼつっこ引っ張ればいいがら。(=照明のスイッチを入れるときは、この「丸い玉状のもの」を引っ張ればいいよ。)  鉛筆のさぎっぽがぼんぼつっこになった。(=鉛筆の先端が丸まってしまった。)

   ま行

まがす  まげる

まがす
意味 : (液体などを)こぼす。 ひっくり返す。
用法 : じゃじゃじゃ、醤油まげでしまったーー!

まっきり

意味 : 気違い
用法 : あの店のまっきり親爺には頭さくる。(=あの店の気違い親爺には頭にくる。)

まった

意味 : 股
用法 : (体操などの際に) もっとまった広げで・・

までに

意味 : 丁寧に
用法 : までに洗えよ。(=丁寧に洗えよ。)  

むぐす

意味 : (おしっこを)漏らす
用法 : (省略)

むったり

意味 : 始終  いつも
用法 : 彼は朝からむったりパチンコ屋だっけ。(=彼は朝からずっとパチンコ屋に入り浸ってる。)
備考 : 同様の意味で「ずったり」ということもある。

めぐさい

意味 : 不細工  ブス
用法 : (省略)

めんこ

めんこ
意味 : 良い子  性格の良い子  可愛い子
用法 : ああ、めんこだ、めんこだ。(=ああ、良い子だ、良い子だ。)

めぐさめんこ

意味 : 顔は多少良くないが性格的に可愛い子   美形ではないが親しみのある顔立ちの子
用法 : (省略)

○○もや

意味 : ○○だものね・・・、○○なんだって・・・くらいの意味
用法 : あそごの犬、すぐ吠えっけもや。(=あそこの犬はすぐに吠えるんだよね。)

   や行

やばつ  やばつい  やばつね

意味 : 汚い
用法 : 鼻水垂らして、やばつねなおめ。(=鼻水垂らして、汚いなお前。)

やんた

意味 : 嫌だ
用法 : おらやんた。(=俺は嫌だ。)  やんたごど。(=嫌だねぇ~)  やんたぐなる。(=嫌になる。)

ゆるぐね

意味 : しんどい  苦労が多い
用法 : 野球部さ入んのが? 練習ゆるぐね~ぞ! (=野球部に入るのか? 練習はしんどいぞ!)

よごせ

意味 : 渡せ  譲れ
用法 : それ、こっちゃよごせ。(=それ、こちらに渡せ。)  払えねんだば、代わりにこれ俺さよごせ。(=払えないんなら、代わりにこれを俺に譲れ)  こんなのよごされでも困んだなぁ~(=こんなものを渡されても困るなぁ~)

よったり

意味 : 4人
用法 : 麻雀はよったり居ねばでぎねべだら。(=麻雀は4人居ないと出来ないだろうが。)

   わ行

わがね  わがんね

意味 : ダメ (拒否 ・ 不許可)
用法 : 「あれ買ってもいい?」「わがね」   酒飲んだら絶対運転してわがねぞ。
備考 : 「わがね わがね」と二度否定するのが短縮されて、「わねわね」と聞こえる場合も有り。

わげすたず

意味 : 若い人たち
用法 : 今のわげすたずは贅沢だ。

わらす

意味 : 子供
用法 : (省略)

んだ  んだんだ

意味 :  はい  そうだ  同意
用法 : 「これ、おめのが?」「んだ」(=「これはお前のものか?」 「そうだ」)  んだんだ思い出した。(=そうだ思い出した。)
備考 : 人の話に同意するときは「んだんだ」とか「んだな」と言い、年配の人は「んだなす」ともいう。

んだってが

意味 : そうなのか!
用法 : 「小佐野中学校に勝ったんだっつぞ。」「んだってが!」
備考 : 「そうじゃないだろう」と疑うときも、「んだってが」と言っていた記憶も有り。

んだば

意味 : じゃあね、またね・・・くらいの意味
用法 : 今日はおもせがったな。気を付けで帰れよ、んだば。(=今日は面白かったな。気を付けて帰れよ。じゃあまたね。)
備考 : 「そうならば」の意味で「んだば」も使われる。但しアクセントが違う。

んだべんたら

意味 : そうでしょうが (相手に同意を促すような、そうに決まってるだろう・・・みたいな意味で、主に女性が使う。)
用法 : 「これって釜石の特産なの?」「んだべんたら!」 
備考 : 「んだべや」 「んだべだら」の女性版

んでねぐ

意味 : そうではなく
用法 : 「こご掘ればいんだっけが。」「んでねぐこっちよ。」(=ここを掘ればいいのだっけ? そうじゃなくこっちだ。)


   あとがき

こうして見てみると、私自身も近年はさっぱり方言を話していないことに気付かされます。(自分でそう思っているだけかもしれませんが・・)

テレビやYoutubeなどで標準語に触れる機会が多いので、今後も世の中からどんどん方言が消えていくのでしょうか。

このページは、最初はほんの軽い気持ちで書き始めたのですが、書いているうちに次から次へと言葉が思い出され、どんどん項目が増えていき、行けども行けどもゴールが逃げていく感じでした。(笑)

当初思っていたよりずっと時間と労力がかかってしまったけれど、記憶が消えてしまわないうちに、こうして書き残しておいて良かったと思います。

2022年11月末